「クレーン男」の心を知るために、というわけではないのですが
私も高い所へ行ってみました。

     *

鉄塔は腕を隠して立ちゐたり風がしきりにそそのかす夜も

もたれあふ男女ばかりの塔にゐて律儀に外を眺むるふたり

真夜中の展望台に中年のメキシコ人が来て騒ぐなり

(それはそれ)はしやぐあなたの指先でひと際光る銀座方面

慕ふ羽舞ひあがる羽 夜も飛ぶ鳩の話を披露しながら

ちらばれる光の中を一息に走り抜けたる無言の列車

とりあへずれんあいと呼ぶ風景の暗い部分はたぶん森です
CLOSE