勤め先の書店に、常連のお客様T氏から
「ペリカンについて詳しい本はないか」という問い合わせがありました。

残念ながらペリカンの専門書は見当たらず、検索に引っ掛かってくるのは
『ペリカン文書』(映画ではJ・ロバーツが演じていたやつ)ばかり。
T氏の要望に応えることはできなかったのですが、
鳥の図鑑をあれこれ探している時、日本ヴォーグ社の『完璧版 鳥の写真図鑑』に
おかしな名前のペリカンを見つけました。
「ダルマチャンハイイロペリカン」
というのです。

どちらかといえば細おもてのその種がなぜ和名を「ダルマチャン」と付けられたのか?
にらめっこでもする鳥なのか?
そして、はたして「テングチャンペリカン」は存在するのか?

などと、しばし妄想は膨らみましたが、
よく見れば件の鳥は、英名「Dalmatian Pelican」というらしいのです。
だ、駄洒落?!

他の辞典などで調べたところ、「Dalmatian Pelican」はラテン語名「Pelecanus crispus」、
「Spotted-billed Pelican」と呼ばれることもある大型のペリカンで、
和名は、通常「ハイイロペリカン」とされることが多いようです。
(ダルマチャン、を採用しているのは、調べた限りでは日本ヴォーグ社のものだけでした。)

ヨーロッパ東部から中国南東部に生息し、 冬にはエジプトやインドに南下する
渡り鳥だそうですが、何かの拍子に日本まで飛んできてしまうこともある。
江戸時代しばしば捕らえられ、見世物にされていた「ガランチョウ」というのは、
どうやらこの種らしい。

そう考えると、ダルマチャン、という妙に和風でコミカルな名前も
案外ぴったりなような気がしなくもありませんが、
それにしてもいったい、誰がどうして命名したのやら。

…おっと、思わずペリカンに熱中してしまった。
もうすぐ夕方、書店が一番忙しい時間に突入します。
さあ、お仕事お仕事(わざとらしい)。

  お小言はひとまずやめてペリカンの食生活についてひとこと
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