昨年末のこと。

郵便局で年賀葉書を買った後、コンビニに行って昼のお弁当を買おうとしたら、
財布がなかった。レジの前で鞄の中身をひっくり返したが、出てこない。
なくしてしまった!
あたふたする私に、たねやさん(レジの女の子)は困った顔で黙りこくっている。
「た、たぶん郵便局ですすぐそこの郵便局で葉書を150枚買ったばかりなんです」
と、しなくてもいい説明をして、コンビニを飛び出す。
なくしていたらどうしようどうしようどうしよう。

なくしてはいなかった。
郵便局に財布はあった。カウンターに置きっぱなしになっていたのを、
局員の女の子がすぐに見つけて預かってくれていたのだ。

走ってコンビニに帰る。
「ありましたー!」
なぜかちょっと自慢げに財布を見せる。
しかし、たねやさんは、さっきよりいっそう困った顔でもじもじしている。
こういうとき私だったら良かったですねーとか言うけどなあ、
と思いつつ、たねやさんの手元にふと目を移すと、
そこにはちょうど温まったお弁当と、そして、年賀葉書が。
私が買った150枚の年賀葉書。
さっきあわてて鞄を探したとき、コンビニのカウンターに置き忘れたのだ。

そんなこんなで、お弁当と葉書と財布と鞄を持って、私は歩く。
とりあえず何もなくさなかったが、なんだかもうぐったりである。

  さびしいと声には出さず 昼どきの意外と当てになる腹時計

(2006年1月23日)
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