グッドマン、午後八時〜
〜トイレ個展version


荻窪駅から徒歩五分ほどのところにある、不思議なライブハウス「荻窪グッドマン」。
その中にある古ぼけたトイレの壁を使って、毎月のようにトイレ個展なるものが開催されます。
写真あり絵画ありコラムありのトイレ個展に、私も「短歌」で参加させていただきました。

※2006年、ビル老朽化のため「荻窪グッドマン」は移転、
現在は「高円寺グッドマン」として営業中です。





踏は汚 (よご)れたドラムお前たち暴れすぎると破れちまふぜ


ーヒーが欲しい、下さい、マスターが筆ペンで書きなぐるメニューの


窪は来る度に雨 ほの暗きトイレの壁に「住ミタイ」の文字


び箱と跳び箱の間に挟まつてぼそぼそ夢を語りき 昔








コードの山掻き分けてたどり着く席に見知らぬ女来てをり


音にくるまれてゐるこの部屋で君はピアノを喰らつて生きる


しやぶりのテンションのまま掻き鳴らす「俺は人間なのかブルース」


ねりうなるコントラバスは避雷針/避雷針抱いて風待つ男








×声×声 絡めてはまた離れゆく手と手のごとく


ックスの突風が来る 我は帽子押さへ言葉を書きとめてゐる


髪の男の手からどこか遠き星の光がこぼれて しづか


草の火消して女は立ち上がりきりきりと詩を叫び始めつ







頬に楽器の影が落ちてゐてみんなみんないつか死ぬつて辛い


たちよ 諦めながら泣きながら歓びながら混じりあふべし


だ神の横顔である舞台より降りてひとくち水を飲む時


男だといふベース抱へつつ深夜の駅を発ちゆくといふ


り際の女はやをら振り返り羊の顔で笑ふのだつた





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